風を感じて草食んで

星からのヒトサジの甘みやスパイスを暮らしのアクセントに

母は言った「これからはやり残したことがないようにしておきたいのよ」

こんにちは 波優です。

まだ世の中がコロナ禍だったころ。数年前のお話しです。
母から北海道旅行を持ちかけられました。
どうして北海道に行きたいの?と尋ねると
子供のころからお世話になっていた実姉のご主人に会いたい、と。
互いに高齢でもうあまり時間も残されていないから
せめて自分が動けるうちに会いに行って、
昔話の一つでもしてじかにいろいろお礼を言いたい、とのことでした。
母にとっては特別な人で、子供のころからとても可愛がってくれた人。
その母の子供の私のことも、幼少期からずっと可愛がってくれました。

その話しのとき、
「波優、お母さんもう年も年じゃない?
 だからこれからはやり残したことがないようにしておきたいのよ。
 会えるうちに会いたい人に会っておきたいの。
 やれることやっておきたい。
 ・・・わかるでしょ?」
と言った母の言葉がとても印象的でよく覚えています。

 

コロナが落ち着いたら行こうねと言い合っていたのですが
ある日滅多に来ない母からの電話で
”札幌のおじさん”の訃報を聞くことになりました。
「来年行くって言ってたのに間に合わなかった、兄さん死んじゃった!」
母の泣き叫ぶ声、狼狽と悲しみが
私の耳から心へ、心からたくさんの温かい思い出にまで沁み込んでいきました。

落ち着いたころに電話をすると
「もう北海道なんて行かない。行っても意味がない兄さんいないし」
と言うことが増えました。
ところが時間が経って気持ちもきちんと整理がついたのでしょう、
やっぱり連れていって欲しい、会えなかったけどお墓参りには行きたいと
涙ながらに言うようになりました。

そして今日夕方電話が鳴り「はは」の表示にまた嫌な予感がしました。
出るとしゃくりあげながら
「今大丈夫? あのね…」
母にとっては姪、私にとってはいとこの突然の訃報でした。
いろいろ全て終わってからの連絡だったようで、今日が初七日とのことでした。
このいとこは、いとこが生まれたときから母がよく面倒を見て可愛がっていて
私も子供の頃に一緒に遊んだ記憶がたくさん残っています。
私と10才くらいしか年が離れていないはずで
まだ60代だったと思います。早すぎる別れでした。

現在母はがん闘病中です。
母にとっても私にとっても
後悔のないように生きるとはどういうことなのか
改めて考える機会になりました。

それでは、また。

 

 

 


「波優、お母さんもう年も年じゃない?
 だからこれからはやり残したことがないようにしておきたいのよ。
 会えるうちに会いたい人に会っておきたいの。
 やれることやっておきたい。

 ・・・わかるでしょ?」